- 栄養コラム
- 2020.08.02
胃について知ろう!
前回のコラムでは食物繊維と腸内細菌の話を致しました。
腸の中の善玉菌が食物繊維を食糧にして短鎖脂肪酸という脂質を分泌します。
この短鎖脂肪酸は小腸や大腸のエネルギー源にもなり、腸の粘膜を補修するエネルギー源として利用されます。
それ以外にも腸内を弱酸性に保ち、ミネラルの吸収率をあげる働きもあります。
そして三大栄養素は小腸から体内に吸収されますが、ちゃんと胃や十二指腸で消化されてきたものしか吸収できません。
たしかに小腸は栄養素の入り口であり、大変重要な場所ですが「小腸以前の消化器の働きにより吸収できるかが決まる」と言っても過言ではありません。
第9回目のコラム「たんぱく質不足は様々な不調を招く」でもお伝えしたように…
たんぱく質=最重要栄養素
これは間違いありません。
ですが、単純に肉、魚、卵などを食べる頻度を増やせば低たんぱく質による不調が改善されるわけではありません。
なぜなら胃が弱っていては食べた肉や魚も消化できないからです。
消化には「 機械的消化 」と「 化学的消化 」の2種類があります。
機械的消化とは、咀嚼や蠕動運動が該当します。
化学的消化とは、唾液、胃酸、胆汁、膵液などが該当します。
胃酸の中にはペプシンと呼ばれる消化酵素があり、この酵素が働くことでたんぱく質は分解され始めます。
肉、魚類をよく噛めば消化のサポートになりますが、胃酸の中にあるペプシンの働きによって本当の意味でたんぱく質が消化され始めます。
このペプシンは胃の中がpH1~1.5という強酸性の条件下でのみ働けるようになります。
血液内ではペプシノーゲンという酵素として存在していますが、胃の中に分泌された時に胃内が強酸性であればペプシンへと変わります。
つまり胃酸がちゃんと分泌されて強酸性であれば、たんぱく質を消化吸収して、たんぱく質不足による慢性不調の改善が可能です。
肉、魚類を食べて下痢になる方、胃もたれを起こす方は胃酸分泌能力が低下しているかもしれません。
食生活を改善する際は…
「 食品選択 」
なにを食べるのか、こちらは大変重要です。
ですが、食品選択を改善しても栄養状態や慢性不調に変化が起こらない場合には…
「 消化吸収 」
に問題を抱えているケースが存在します。
むしろ悪い「食品選択」が継続することで「消化吸収」まで悪化している方も多いです。
実は胃の酸性度を決めるものは「塩酸:HCL」です。
胃内の壁細胞から塩酸は分泌されて、胃内を強酸性に保ちます。
ですが、この塩酸を分泌する際に細胞のエネルギーであるATPというものを必要とします。
ATPが不足してしまうと胃内の強酸性を保てず、前述のペプシノーゲンがペプシンへと変われなくなります。
そうするとたんぱく質の初期消化を行えず、せっかく食べた肉や魚類をたんぱく質として吸収することができません。
初期消化の不足により、小腸での吸収が出来なくなります。
ではこのATP不足はなぜ起こるのでしょうか?
1つの原因が前述の「悪い食品選択」が習慣化されることです。
食品選択が悪くなると細胞でのATP産生量も少なくなり、結果として胃酸の分泌も低下します。
そして「胃が弱い」のは栄養療法ではとても厄介な状態です。
慢性不調を改善するために栄養素を入れたいんだけど、栄養素を吸収するためのエネルギーまで枯渇しています。
そしてこのエネルギーを補充するためには栄養素を入れるしかありません。
でも栄養素が入らない。
八方ふさがりの状態です。
そのためこの状況を打破するための方法を考えなければいけません。
もっとも効果的な方法は「消化酵素」のサプリメントです。
胃の弱化具合、三大栄養素に対する消化酵素の分泌状況に合わせて消化酵素サプリの種類を使い分けます。
ですが最初からサプリメントを用いるのには抵抗を感じる方もおられるかと思います。
では食品ではどうすればよいのでしょうか?
梅干し
レモン
がオススメです。
この2品は胃を強酸性に保つサポートをしてくれます。
肉、魚類にはレモンを絞る。
食品選択に梅干しを選ぶ。
胃が弱く、肉、魚を食べるとお腹を壊しやすい方はぜひお試しくださいませ。
次回は胃腸の回復を促すブロススープについて書かせていただきます。
執筆:川合 智 ニュートリションアドバイザー
AMBER LAB(アンバーラボ)
パーソナルトレーニング/ ボディメンテナンス
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