- 栄養コラム
- 2020.09.09
油(脂)モノで胃もたれしやすい方へ
【油(脂)モノで胃もたれしやすい方へ】
前々回は胃について。
前回はブロススープについて。
消化器の問題に関する話をお届けしてきました。
今回は同じく油脂の消化についてです。
皆様の中にも・・・
「油っぽい物を食べるとすぐお腹を壊す」
「揚げ物食べると胃もたれする」
そんな方がおられるのではないでしょうか。
「歳取ったから・・・」
そんな声も聞こえてきそうですね。
確かに加齢は緩やかに細胞機能を低下させます。
ですが、20代でも油(脂)モノでお腹を壊す人がいれば、50代でお腹を壊さない人もいます。
この差を生みだしているのが消化能力であり、ちゃんと体の細胞が働いているかどうかが鍵になります。
前々回の胃酸でもお伝えしたように消化器を適切に機能させるためには多くのエネルギーATPが必要になります。
胃の酸性度を決めるHCLを胃内に生成するためにはATPが必要でした。
これと同様に油脂を消化吸収するために必須の胆汁酸を作るのにも原料が必須になります。
肝臓の下部にある胆嚢から分泌される胆汁酸が乳化といって、油脂が水に溶けるようにしてくれます。
そのおかげで小腸から油脂を吸収できるようになります。
このgall bladderと書かれているところが胆嚢です。
胆汁酸の分泌が悪くなると油脂を消化できずお腹を壊してしまいます。
ですから油(脂)モノでお腹を壊しやすい方は「胆汁酸の分泌が悪い」ことが推察されます。
では胆汁酸は何から出来ているのでしょうか。
胆汁酸の原料になっているのは「コレステロール」という脂質です。
コレステロールは身体に悪い脂質というイメージがありますが、実際には違います。
なんと身体の中のコレステロールはその80%は肝臓内で作られています。
つまり自分で作らないといけない程に重要な脂質だと言えます。
細胞膜の原料になったり、様々なホルモンの原料になったり、とても重要な栄養素ビタミンDの原料になったり、計り知れないほどに重要な脂質。
それがコレステロールの正体です。
そのコレステロールですが胆汁酸の原料にもなっていますから、血液検査でコレステロールが低いと原料不足で胆汁酸が作れなくなります。
そのため「油モノを食べるとお腹がもたれる」と言う方の多くはLDLコレステロールの値が低いことが多いのです。
ではコレステロール値を上げて油の消化吸収力を上げるためにはどうすればいいのでしょうか?
それはタンパク質代謝をあげることです。
「コレステロールは脂なのにタンパク質代謝?」
そう思いますよね。
コレステロールは脂ですから血液の中をそのままでは移動することができません。
脂は水に溶けません。
そのため表面をタンパク質に覆われる必要があります。
この表面を覆うタンパク質が作れないために低コレステロールになっている方がとても多いです。
油(脂)モノに弱い方は消化吸収できるレベルの肉魚類を食べ、タンパク質代謝を上げていく必要があります。
そうするとコレステロール値が挙がってきます。
もちろん腸内環境の改善など別の面からのアプローチが必要なケースもあります。
それらすべてに使えるのが前回ご紹介したブロススープです。
胃酸が出ず、胆汁も出ず、腸内環境が悪かったとしても。
八歩ふさがりになった消化器でも体内に入って栄養素を満たしてくれるのがブロススープです。
まさにブロススープは栄養療法の必殺技と言えます。
執筆:川合 智 ニュートリションアドバイザー
AMBER LAB(アンバーラボ)
パーソナルトレーニング/ ボディメンテナンス
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