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栄養コラム
2020.10.23

胃酸分泌が十分な人はいない

【胃酸分泌が十分な人はいない】

以前からアンバーコラムでも胃酸をはじめとした「消化液」の重要性をお伝えしています。

 

 

その中でも胃酸に関しては伝えても、伝えても、伝え足りないくらいだと感じています。

慢性不調を抱える方の中には自ら栄養学を学び、改善しようとされている方もおられます。

 

「この食品が効くそうだ」

「あのサプリメントを試してみよう」

 

このようにチャレンジをされますが、あまり症状が改善されない方も多くおられます。

 

学んだ栄養学の効果が得られない。

これこそまさに「消化器」を見過ごしているからです。

 

 

慢性不調を抱えている方は栄養不足が長期化しており、体内でエネルギーを十分につくれていません。

 

そして消化器が働き、摂った食品やサプリメントが体内で作用するためにはちゃんと消化され、吸収されなくてはいけません。

 

ですが消化液の分泌には多くのエネルギーが必要になります。

 

その最たるものが「胃酸」です。

 

胃酸の分泌には多くのエネルギー(ATP)が必要です。

胃内部はpH1.5程度の強酸性であり、この酸性環境を作っているのはH+(水素イオン)の濃度です。

 

胃酸を分泌支える細胞(壁細胞)に対して胃内腔は100万倍の強酸性状況となっています。

 

つまり壁細胞はこの100万倍というハードルを乗り越えて、胃内腔に水素イオンを届けています。

 

これには当然、ATPが必要です。

 

 

 

ATPとは人の細胞が機能し、生きていくために必須のエネルギー源です。

 

 

このATPを用いて、胃プロトンポンプというものを動かして胃酸分泌を支えています。

 

つまり胃酸過多というのはATPが過剰に余っている時でもないと起きないのです。

 

 

慢性不調の方は食生活が乱れ、ATPが十分作れていません。

それなのに胃酸過多など起こるはずがありません。

 

ではなぜ「逆流性食道炎」のような胃酸過多様の症状を持つ方がいるのでしょうか?

 

 

それは胃酸分泌を促進するものを空腹時に常飲しているからです。

 

特に多いのはコーヒーとお酒です。

この2つには胃酸分泌を促進する働きがあります。

 

 

「胃がキリキリする」

「胃酸抑制剤を飲んでいる」

 

 

そんな方でコーヒーやお酒を常飲している方は一度これらを減らしてみてください。

 

胃の痛みや不快感が改善される方も多くおられます。

 

 

それ以外にも胃酸不足で消化機能が弱った方は肉類などを食べると胃もたれを起こします。

この胃もたれに対して胃酸抑制剤を処方し、とりあえず「胃のスッキリ感」を演出していることもよくあります。

 

 

これは「負の連鎖」にハマってしまうため注意が必要です。

 

根本的に必要なのは胃酸分泌を促し、食品が消化吸収されるための消化能力サポートです。

 

 

飽食の時代ではありますが「栄養素の質」という点では益々と欠乏しやすい現代です。

 

その一端は「食品の栄養素」だけでなく、我々の消化吸収能力の悪化にもあるのです。

 

栄養療法の視点からは胃酸分泌はサポートするものであり、抑制してはいけないのです。

 

以前のコラムの繰り返しになりますが、胃酸分泌をサポートしてくれる食品の代表格は梅干し、レモンです。

 

ですが、実は味噌や酢など伝統的な和食を作るための調味料にも善玉菌が作ってくれる消化酵素やクエン酸などの消化吸収をサポートしてくれるものが含まれます。

 

 

先人の知恵はやはり素晴らしいものです。